形、手触り、コンテンツ。手にとって見たくなる本、きんとうん出版の編集長による、あれやこれや。
by questroom
S |
M |
T |
W |
T |
F |
S |
|
|
|
|
|
1
|
2
|
3
|
4
|
5
|
6
|
7
|
8
|
9
|
10
|
11
|
12
|
13
|
14
|
15
|
16
|
17
|
18
|
19
|
20
|
21
|
22
|
23
|
24
|
25
|
26
|
27
|
28
|
29
|
30
|
31
|
メモ帳
カテゴリ
以前の記事
最新のトラックバック
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
2010年 12月 04日
私はいつものように地下鉄の最後尾の車両の、てすりの横の席に座った。
それがお気に入り。
始発駅だか乗客はまばらだ。
“いつものように”といったけど、
引っ越して1ヶ月経つか経たないかで、まだできたての習慣だ。
縁あって手にした『生活考察』という雑誌の小澤英美さんのコラムに、
フリーライター・萩原魚雷の『活字と自活』からこんな引用がしてあった。
「自分の住みたい町に住めるという自由……
これが大人になってよかったと思うことのひとつである」。
そして小澤さんはこう続ける。
「どこに住むか」という選択は、
その人の生活から性格まで少なからざる影響を及ぼす、と。
まったくもってその通り。
上京して、4つの土地に住み、3回引越しをした。
最初は川崎、次に世田谷・上町、そのあと同じく世田谷・駒沢、そして今。
都営地下鉄の始発駅。
都内ではあるが、都心からは少し遠くなった。
なにせ前は最寄駅が駒澤大学駅、渋谷から3つだったから。
実家の近くに走るちんちん電車を思わせる世田谷線に一目ぼれして、世田谷に越してきた。
マンションが性に合わず2階建ての長屋だった。
駒沢の家も同じように古い2階建ての一軒家。
東京の安くない家賃の半分は、
便利さや東京の街や生活を楽しむために払ってるんだと思っていた。
ふと思ったことがあった。
三軒茶屋の駅を降りる人たちが若い人たちばかりだったのを見て、
東京ってヘンな町だと思った。
年寄りや子どもはいないのかなと。
いやまあ、でも、ずいぶん満喫したと思う。
親しい人とはよく三軒茶屋で呑んだ。
歩いて帰れる。
渋谷だってタクシーですぐ。
10年はあっという間だった。
そろそろ潮時かな。
若く、貪欲なときを過ぎ、もう少しだけ離れてみてもいいかも。って。
新しく自分の住むことになった町。
若いOLさんもサラリーマンのおじさんも、
呑み会帰りの学生さんも、
その駅の改札からは老若男女がまぜこぜで吐き出されていく。
じわっと心に広がったキモチ。
ここは人が住む町。
ああ、私はこの町に住むのイヤじゃないんだ。そう思った。
わたしは「この町」に住むという選択をしたんだ。
|
|